記事 · 2026年9月6日
WordPress で「バイブコーディング」する、本当のところ
AI に頼んでサイトを作る流れが WordPress にも来ました。派手に見えるツールの見分け方と、私たちが自分のサイトで毎日やっている、地味で安全なやり方。
バイブコーディングは今年の流行語です。欲しいものを言葉で伝えると、AI がコードを書いて、そのまま公開する。構文は要らない、雰囲気だけ。この流れは WordPress にもすっかり届いていて、AI エージェントにサイトを作らせるツールが毎週のように現れます。
ここで一つ、少し可笑しな事実があります。AI Engine を使っている方は、もう一年以上前から WordPress でバイブコーディングをしています。私たちは YouTuber にお金を払って宣伝したことはありません。作って、自分たちのサイトで毎日使って、コミュニティに共有した。それだけです。Claude を WordPress につないで「このページを書いて」「この CSS を直して」と頼んだことがあるなら、名前がつく前からバイブコーディングをしていたことになります。
急に増えた新顔たち
最近、この市場に新しいプレイヤーが一気に増えました。二、三週間で生まれた製品が、YouTube の動画、スポンサー付きのレビュー、広告で強く押し出される。製品そのものが AI で書かれているのは、それ自体は構いません。ただ、よく見ると同じ型が繰り返されています。完成した状態で突然現れ、洗練されたサイトと動画があり、最初から Pro プランが用意されている。
はっきりさせておくと、AI がコードを書くこと自体は悪くありません。私たちのプラグインにも AI が書いたコードは毎日入っています。問題は別のところにあります。サーバー上で任意の PHP を実行することを目的にしたプラグインは、公式の WordPress ディレクトリのセキュリティ規則が通すものではありませんし、これからも通らないでしょう。あの規則は、コミュニティが二十年かけて「なぜ必要か」を学んだ結果です。速く現れたものは、次の流行が来れば同じ速さで消えます。
見かけの世界
私が本当に気になるのはここです。明日の人気製品は、何年もかけて磨かれた堅実なものではないかもしれない。新しいやり方は、製品を AI で安く作り、宣伝に大きな予算をかけることです。そして今はもう AI アシスタントも標的です。レビューやまとめ記事や「正直な比較」でウェブを埋めれば、モデルはその製品が素晴らしいと学習する。そうして「どのプラグインがいい?」と AI に聞くと、マーケティングの言葉がそのまま返ってくる。
見慣れない新しいツールが突然現れたら、単純な質問をいくつかしてみる価値があります。なぜここにあるのか。本当は誰が作っているのか。どうやって儲けているのか。
プラグインの「バイブチェック」
- プロジェクトはいつからあるか。 変更履歴に何年分の着実なリリースがあるか、それとも密度の高い三週間だけか。
- 公式の WordPress ディレクトリにあるか。 ないなら、なぜか。
- サポートフォーラムで、本物のユーザーが本物の回答を得ているか。
- 誰が作っていて、その人は自分の製品を使っているか。
- レビューは人の言葉に聞こえるか、キャンペーンに聞こえるか。
どれも難しくありません。マーケティングが「使わないでほしい」と願っている五分を使うだけです。
私たちが実際にやっていること
批判ばかりでは公平ではないので、うまくいっている方法も書きます。これは私たちのサイトの裏側そのままで、Offbeat Japan とそのフランス語版 Japon Secret(約 670 記事、三言語、週に約一万訪問)も同じ仕組みで動いています。元の記事は私が自分で書き、AI が校正する。そのあと MCP を通じて Claude が翻訳、チェック、内部リンクを担当する。テーマも丸ごとバイブコーディングです。すべて簡単で、安全で、そして正しいやり方だと思っています。全部で五つの習慣に収まります。
1. 手元で、自分のコードだけを触る
Claude Code(または他のコーディングエージェント)を自分のパソコンに入れて、サーバーではなく手元で作業します。WordPress サイト全体を手元に置く必要はありません。テーマが自作なら、テーマのフォルダだけで十分です。プラグインのコードは、AI が本当に読む必要があるときだけ加える。小さく絞った作業場所は AI を鋭く保ち、ミスの範囲も小さくします。手元で WordPress を動かせるなら(Local や Studio など)なおよくて、変更は誰にも見られる前にテスト URL で試せます。
2. すべてを git に入れる
git があるから、バイブコーディングは怖くなくなります。AI の変更はすべて差分になって、読んで、承認して、あるいは捨てられる。一行ずつ理解する必要はありませんが、何が変わったかは常に見えます。git のコマンドを打つ必要すらありません。Claude Code がやるので、あなたは承認するだけです。来週何かが壊れても、戻すのはコマンド一つで、パニックにはなりません。
3. デプロイは退屈な方法で
準備ができたら、Claude が scp や rsync、あるいは昔ながらの FTP でステージングや本番へファイルを送ります。見張るパイプラインも魔法もありません。すべてバージョン管理されているので、巻き戻しは前の状態をデプロイするだけ。わざと退屈にしてあり、だからこそ安全です。
4. 本番サイトは MCP を通して AI に任せる
本番サイトそのもの、つまりコンテンツ、設定、SEO、日々の管理は、AI Engine の MCP サーバーの仕事です。サーバー上で任意のコードを実行することなく、Claude がサイトで作業できる、制御された安全な面です。私たちのサイトの翻訳も内部リンクも SEO チェックも、こうして行われています。SEO Engine も自分のツールを提供します。仕組みは単純で、コンテンツは HTTPS 上の API を通り、ツールは範囲が限定され、シェルもデータベースへの直接アクセスもない。起こりうる最悪の事故は記事のリビジョンが崩れることで、WordPress はリビジョンを保存しています。コードは git と SSH を通り、出荷前に人間が差分を見ます。
5. 取り返しのつかないものは人間に残す
元に戻せるものは自律的に、元に戻せないもの、つまり公開、コミット、デプロイは、AI が提案して人間が承認する。一括の操作は先に現在の値をバックアップする。そして、間違いは恒久的なルールとして書き残す。良いチームと同じように学び、ただし忘れない。
だから、本番サーバー上で AI に直接 PHP を実行させるのは、バイブコーディングではなく、ただの疑似的な興奮です。それで初めて可能になることは何もなく、きれいで速くて楽しい方法で、もうできることばかりです。誰かが何かを「次の大きな刺激」として派手に見せてきたら、気をつけてください。たいてい、興奮以外のものを隠しています。誰にでも利害があります。
それでも、バイブコーディングを
誤解しないでください。バイブコーディングは素晴らしいものです。私は毎日 Claude を使っていますし、私たちのプラグインにも AI が書いたコードがたくさんあります。違いは AI 対人間ではありません。何年もかけて築いた実質と、数週間で作った見かけの違いです。WordPress にふさわしいのは前者です。
今日から WordPress でバイブコーディングを始めたいなら、次の新しいものを待つ必要はありません。AI Engine は一年前から静かにそれをやっていて、私たちは来年もここにいます。
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